だって恋は盲目!


僕の思い人は、目が見えない。

いわゆる盲目、というやつで。
先天性のものらしく、生まれてから今まで、一度も見えたことがないらしい。



「ゆーくん、今日も来たよ〜。」

そんな彼は、僕のいとこ。
小さい頃から、ずっと一緒にいた。
ゆーくんは目が見えないからって、捻くれたり、自らの運命を悲観することもなかった。
純粋で、まっさらで。綺麗なゆーくん。


「みーちゃん来てくれたんだ!」
ゆーくんはそっと笑う。
とっても綺麗だ。

ゆーくんは、光を感じることはできるらしい。しかし、光しか感じ取れない反動なのかなんなのか、光に敏感で弱い。
そのため、いつも目元は包帯で巻かれていて、目を見ることはできない。
僕は一度、見せてもらったのだけれど、とっても綺麗で、きらきらな瞳だった。



「みーちゃんだけだね、ぼくのところに来てくれるのは。」
寂しそうにゆーくんは言う。
いいんだよ、ゆーくんは僕だけのものだもん!


「だってみーちゃんはゆーくんのみーちゃんだもん!ずーっと傍にいるよ!」

頭を撫でながら言うとゆーくんは甘えるように僕に擦り寄ってきた。



ねぇゆーくん、僕ね、また背が伸びたよ。
女の子に告白されるくらい、かっこよくなったよ。
でもさ、君には見えないんだねぇ。君の瞳には、何も映らない。君は、何を見ているんだろう。
どんな世界を、見ているんだろう。
僕もその世界を見たいなぁ。
目を抉りとってみれば、見れるかなぁ。



「ゆーくん、僕さ、ゆーくんが何かを見れるようになったらさ、一番に僕の顔見て欲しいなぁ。」

ねだるように言うと、「そうだね、そうしたいね。」ってゆーくんは笑う。





ねぇゆーくん。
僕以外を見ないでね。
僕以外を見るくらいなら、そのまま何も見えないままでいてね。


ゆーくん、だいすきだよ。



<終>






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